ものすごいアルバムができましたね。正直、予想以上でした。
ハマ・オカモトよかった。なんか聴きながら思わず笑っちゃうようなところがありますよね。
うん、笑いながらたまげた。今は8月10日の夕方なんですけど、今朝方マスタリング終わって、アルバムが完成したということで。
オカモトレイジ作業が終わってスタジオを出たのが朝の4時くらいですね。
僕もできたてホヤホヤの状態で聴かせてもらったんですけど、まずはひとりずつ率直な感想や手応えから聞かせてもらえたら。
オカモトショウとにかく今まで1番の出来と言っていいアルバムができました。今回のアルバムは俺が責任者として制作を進めていたところがあったから。The Whoの『Tommy』というロックオペラからインスパイされて、現代の三重苦——家の鍵、携帯電話、財布を失くした男のストーリーを描いたアルバムを作ろうと思って。そのために作品の細やかなところまで演出することにすごく気を配ったんです。去年『Let It V』をリリースして、『VXV』を制作しているときから次のアルバムはどうしようかと構想していました。『OPERA』のレコーディング期間は実質2カ月かからないくらいでしたが、1年越しの想いが詰まった作品なんです。もちろん、リスナーに届けるためのアルバムでもありますが、まずは何より自分が聴きたかったアルバムを完成させることができて純粋にうれしいです。
オカモトコウキ『OPERA』が完成したという事実にすごく不思議な感覚を覚えてますね。だいぶ前からこのアルバムのことを知っていたような感覚があるんです。それほどこのアルバムのことを考えていた時間が長かった。すごく変わったアルバムという印象もありますが、OKAMOTO’Sとしてはすごく自然なアルバムでもあって。ものすごく個性の強いメンバーが4人集まってバンドをやっているということを、過去最高の形で表現することができたという手応えがありますね。
確かに。4人がそれぞれの個性を遺憾なく発揮して、その総力を結集してアルバムを作り上げたというすごみに満ちている。OKAMOTO’Sというバンドの記号性やパブリックイメージを破壊して、ロックオペラという舞台の上で再構築したらものすごく本質があらわになった。そういうアルバムだなって。
コウキまさにそんな感じですね。これぞ“OKAMOTO’S”だと思います。だからこそ、自分でも聴きながらすごく感動しました。
ハマロック・オペラというテーマがあるおかげで多彩なアプローチができたんですけど、アルバムを通して一貫してあるのはダンサブルな要素。それはロックオペラというテーマが決まる前からなんとなく見定めていたことなんです。去年、5周年の活動を経て、今年4月に東名阪で遊びの要素が強いツアーをやって、6月に「Dance With Me/Dance With You」をリリースして、そのプロモーションでテレビに出演したり——そういったトピックスの先にあるアルバムとしてすごくいい作品ができたと思います。メンバー間でもずっと言っていたのは、“次に制作するアルバムは、これまでの地続きではなく、意識的に劇的な変化を遂げるものではないと意味がない”ということで。そういう面においても、圧倒的な確信をもって制作されたアルバムであることがよくわかる内容になってると思います。それと同時に、『OPERA』の制作は終わりましたけど、今度はこの『OPERA』を広めるための作業が待っているので。だから、個人的には全然終わった感じはしてないんです。
リスナーがこのアルバムにどんな反応をするのかすごく気になるし、その前にリスナーが触れるための機会をどう作るかということですよね。
ハマそう。「Dance With Me / Dance With You」のプロモーションを僕が一手に担ったことで、作品をいかに広めるかという視点が切り離せないものになりました。これだけの作品を作りあげたので、どう届けるかと考えることは心地よくもありまして。
ロックオペラというコンセプトもそうだし、これだけ打ち込みやSEも含めていろんな音が入ってると、率直に“ライブはどうするんだろう?”という疑問もあるんですけど(笑)。
ハマ確かにそれはありますよね。でも、「Dance With Me/Dance With You」のタイミングで三宅さんにはお話しましたけど、今回のアルバムは録音物として完成度の高い作品を作るという意識が何より強かったので。もちろん、ライブを無視するわけでは全然ないんですけど、まずは録音物としていかにものすごい作品を作れるかに重点をおいていたんです。ライヴもなんとかなると思ってますし、なんとかするしかないですよね。
レイジ制作中に“これ、ライブでできなくない?”って思うことさえなかった。それくらい作品至上主義な発想で作ってたから。今までのアルバムはライブを前提にして制作していた向きが強かったし、レコーディング中に何か提案しても“それライブでどうすんだよ?”、“確かにそうだね”って終わっていたアイデアもあったんです。でも、『OPERA』のレコーディングではそういう会話が一切なかった。
ショウそれは実は意図的に取り組んでいて。音楽的な好みは4人それぞれにあるので、それをなるべく採り入れたいと思ったんです。