SPECIAL INTERVIEW
ショウ はい。4人で歌詞を書くことで“俺自身がずっと言いたいと思っていたことってこれなんだな”と思い知らされた。自分が何を思って、何を歌うべきなのか。それが明確になった。この曲の歌詞もそうですけど、ミュージシャンは実はすごくわがままなんですよね。“この曲、カッコよくない!? めっちゃ踊れるでしょ!? 聴いてよ! 踊ってよ!”ってステージに立ちながらいつも思ってるわけですよ。ただ、一方で“10人が10人同じように理解してくれるはずがない”とも思ってる。でも、さらに“10人が10人同じようにカッコいいと思えるくらいこの曲はすごいでしょ!?”とも思ってるんですよね。
ショウ だからこそステージに立っていると思うし、そこで覚えるジレンマはずっとあるんだけど、わかり合える相手がいるとその快感がものすごい。それがミュージシャンのサガであり喜びなんですよね。「Me」はそういう想いをサウンドにも歌詞にもやっとしっかり込めることができた。だから、「Me」が完成したときはみんなの前では見せなかったけど、本気で泣きました。そこから「Me」の対になる「You」を4人で作り上げたいと思ったし。「Me」と「You」が完成したことで、ニューアルバムはロックオペラのような要素を持った作品にしたいというアイデアも生まれて。噛み砕いて言うと、コンセプトアルバムですよね。
ショウ そう。俺たちはいろんな音楽が好きで“OKAMOTO’Sって結局何がやりたいの?”って言われることも多い中で、ストーリー性を持ったコンセプトアルバムにしたら様々な要素を自然に詰め込めるなと思った。俺らはバンド名の由来でもあるRamonesのようにメンバーがみんな同じ姓を名乗って、ずっと同じ革ジャンを着て音楽をやり続けるカッコよさも知っている。知ってるんだけど、それができないバンドでもあるので(笑)。そういう意味でもいつかロックオペラのようなアルバムを作りたいとは前からメンバーと話していたんですね。そのタイミングがやっときたなと。
ショウ 「Me」に込めたメッセージを思い返したときにロックオペラの代表的なアルバムであるThe Whoの『TOMMY』のストーリーとリンクしたんです。あのアルバムのストーリーは、主人公のTOMMYが見えない、聞こえない、話せないという三重苦を抱えながら生きていく話なんですけど、TOMMYはピンボールだけは天才的にうまくて。そこに唯一の希望がある。それってアーティストが根本的に抱えてるジレンマと希望にも通じるものがあるなと思ったんです。だから、当時ピート・タウンゼントがそういうストーリーを『TOMMY』で描こうと思った気持ちも理解できる。その発想を現代に照らし合わせて発展させたら一体どんなストーリーを描けるだろう、という思考にたどりつきまして。まだまだ試行錯誤している段階ではありますが、次のアルバムでは「You」で物語が始まり、ストーリー自体の本質は「Me」で歌っていることに帰結させられたらなと。
ショウ そうなりますね。時間さえあれば一日中ずっと曲を作ってるので(笑)。最近はライヴのとき以外はほとんど外出もしないぐらい没頭してますね。レコードを聴く暇もないくらい曲を作ってます。自分がどこからインプットしてるのかわからないんですけど、アイデアがどんどん湧いてくるんですよ。あとは俺が作った曲を4人でどれだけ壊せるかがポイントになってくると思います。既にフルアルバムを作れるくらいのデモはそろっているのですが、もうちょっといろいろ試したいなとも思っているので。そのデモがここからどう変化して、アルバムになっていくのか自分でもすごく楽しみです。