OKAMOTO’S BL-EP

完全生産限定盤ミニアルバム「BL-EP」
2016.12.21 on sale!

47都道府県ツアーを経たOKAMOTO’Sの最新モードが詰まったTシャツ付きアナログ盤がついに発売!
映画「にがくてあまい」主題歌の「Burning Love」の他、新曲4曲を収録。
オカモトショウがラップに初挑戦した「NEKO」のRemix ver.には、同世代のヒップホップクルー”KANDYTOWN”より、呂布&MUDがfeat.として参加!

tracks

Tシャツ付きアナログ盤 5,000円(税抜)

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OKAMOTO’S BL-EP

MUSIC VIDEO

COMMENTS

岡村靖幸 New!
oh---ooooooo--00hhggg-----------------
ライブでもやってましたが汁が滴ってますな。
どファンクのバンドのgrooveがデビットボウイのフェイムを思わすクーーーールなファンク。
かっこいいっすなー

MURO New!
レコード好きな奴らが作る最高の音で、元気を与え続けていってください!

ANI(スチャダラパー)
曲からバンドがいい感じなのが滲み出てていいですね。
もっともっと先へ進んでください!

Bose(スチャダラパー)
曲のファンキーさ、演奏の上手さ、育ちの良さ、そして若さ。
こんなのモテるに決まってる!羨ましさしかない!

SHINCO(スチャダラパー)
そのエネルギッシュなパワーは眩しいばかりです。
これからも、ガンガン行っちゃってください!

SKY-HI
音楽的な年輪と、若さの衝動が、ハイブリッドして超ロッケンローなのに超ディスコ。超オーセンティックなのに超アバンギャルド。
人を本当の意味で躍らせる、そんな器のデカさを、なんでこの年齢でこの人達は兼ね備えてるんだ。
いや、年齢やジャンルのボーダーで語るのはナンセンスか。OKAMOTO'Sサイコー!って言いながら酔っ払って踊りたい。

藤原ヒロシ
いつの間にこんなに大人になった?
いつの間にこんなに垢抜けた?
最高傑作じゃないか。

二階堂ふみ
なんか、とりあえず、すっごいオシャレ。冬の空から垣間見える綺麗な青空と、人々の文明が齎したネオンの輝きと、現在進行形の“OKAMOTO'S”はそんな感じがするんだ。いつの間にか、こんな場所にいたんだなって、ハッとさせられました。最高です。

菅田将暉
OKAMOTO'Sの曲は
まだ今の僕にはわからないかっこよさや楽しい世界があるんじゃないかっていつもワクワクさせられます。
だから今後もチェキリます。

呂布
いつでもやれたけど、間違いなく今だった

MUD
これが俺たちの遊び方

TTT_MSW TAMASHABU
BL-EPの中でNEKO(remix)feat.呂布/MUDがかなりホットでした!個人的にも好きなラッパーのお二人とのコラボ。かなり聞きやすくてスッと入る感じが好きでした!

INTERVIEW

——— まずは、10月29日に日比谷野音で幕を閉じた47都道府県ツアーを振り返っていただけたら、と。

ショウ OKAMOTO’Sにとって2016年はアルバムをリリースせずに47都道府県ツアーを回るという意味でも、このツアー自体がひとつの大きなテーマでした。でも、想像していた以上に困難にぶち当たることもなく(笑)、OKAMOTO’Sって実は体力のあるバンドなんだなと思いました。

——— 正直、予期せぬハプニングなどを期待していたところもあったんですか?(笑)。

コウキ こういったインタビューのエピソードにもなるしね(笑)。

ショウ そうそう(笑)。それもオイシイなって言ったら変ですけど。

——— スタッフの人たちも何かドラマが生まれろと思ってたんじゃないかな?(笑)。

ショウ そんな空気感も少し感じつつ(笑)。

レイジ でも、マジで大きなトラブルはなかった!

一同 (笑)

ショウ メンバーそれぞれの個人レベルでは小さなトラブルもあったかもしれないけど、バンドとしてはそれが表に出ることなくツアーを完走できた。

——— でも、それはホントにバンドの地肩が強い証拠でもあって。

ショウ そうですね。ロングツアーが向いているバンドだなと思いました。

レイジ そもそもバンドをやることが向いてる4人なんだよね。それほど集団で動くことって大変だから。というのは、俺は(自身がディレクターを務めている)KANDYTOWNを見ていると強く思います。メンバーが意識のベクトルを同じ方向に向けてひたすらライヴをやっている中で摩擦がおきないって、OKAMOTO’Sはものすごくバランスがとれてるバンドなんだなと改めて思いましたね。

ショウ なるほどね。

——— —ツアーで長い時間を一緒に過ごすから空気が悪くなるとか、もはやそういうレベルでもないし。

レイジ そうなんです。47都道府県ツアーをやり終えたからといって、しばらくライヴをやりたくないという気持ちにもなっていないですし。47本がツアーの基準でも慣れちゃえばまったくつらくないだろうなと思います。意外と移動が多い分、オフもきちんとあったからというのもありますけど。

——— オフのときは各地のハードオフでディグれるしね(笑)。

レイジ そう、ハードにオフがあるんで(笑)。

コウキ 僕は普通にみんないい人だなと思いました。

——— え、誰が?(笑)。

コウキ メンバーさんが。

——— 立場がまるでローディーさん的な(笑)。

コウキ OKAMOTO’Sは周りのスタッフにも気を遣えるし、すごくいい人間性を持った方々だなと(笑)。同じセットリストを続けていって、正直気分が乗らないときもでてくると思っていましたが、そういうことも全然ないのがよかった。

——— ハマくんはどうですか?

ハマ 今、3人が言ったことは基本的にバンドの総意ではありますが、僕はこれだけ長いツアーをやったらもっと目に見えて色々なことが変わると思っていたんです。

——— たとえば?

ハマ 主に演奏においてですね。ツアーでライヴを重ねるにつれて目に見えて改善されていく部分があったりするのかなと思っていたら、マイナスの意味ではなく、全くそんなことはなくて。最初はそのことに違和感を覚えたんです。10本くらい終えても今までどおりの感じから大して変わらない、というか。それで、結果的にあっという間にツアーが終わったという感じで。途中でSiMとの2マンライヴが2本入っていたり。

レイジ 徳島と松山ね。

ショウ その間にイベントにも出ていたので。

レイジ そう、だからライヴの本数でいうと軽く50本を超えてた。

ハマ これだけライヴを重ねるんだったら、普通に終わってしまったらマズいという変な焦りも少しあって。でも、最終的には若いころに筋肉痛が翌日くるというか、このバンドはもうそういう次元にいないんだなと思ったんです。その感覚をつかむのに僕はけっこう時間がかかりました。

——— 野音もある意味ではスタンダードなOKAMOTO’Sのライヴでしたよね。

ハマ そうですね。「ファイナルっぽくなかった」という感想もけっこうありましたし。

レイジ お客さんから?

ハマ そうそう。野音もあっという間に終わったし、いわゆる“お涙頂戴”的な、エモーショナルな瞬間を演出する場面も特になかったから。それは僕らも無意識ながらどこかで意図していたことですし、もっとこうすればよかったという点も特にないんですけど。ツアーを回りながら知らない間にどんどんムダが削られてスマートになっていったというか。MCの変な間もそうだし(笑)。そこは勉強にもなりました。

レイジ 今のところ総じてつまんない感じの回答になっちゃってるよね〜!

一同 (笑)。

——— いや、それが今のOKAMOTO’Sのリアルだし、いいんじゃない?

ハマ 初めて野音を決めたときはそこをゴールに設定していましたが、今回はツアーファイナルであると同時に、今後コンスタントに日比谷野外音楽堂でライヴをやるようなバンドになろうというのが裏テーマでもあって。いちいちあそこに立つことに感動していられないというか。ただ、今回はファイナルの日比谷野外音楽堂の券売をスタートした瞬間にチケットが完売したことにはグッときましたね。ツアーを組んだからといって、どの会場も簡単に人が集まる世の中ではないですから。でも、今回のツアーで全国各地に僕らを待ってくれている人がいて、最後に東京に帰ってきたらあれだけの人が集まってくれることを確認できたのは素直にうれしいですし、活動7年目でようやくそういうステージまできたんだなと思いました。これまで何度か口にしてきましたが、わかりやすい目標でいえば次のステージは全国ZEPPツアーをしっかり埋めるということですよね。

レイジ 武道館もやりたいけどね。

——— 武道館はそもそも絶対に似合うバンドだしね。

コウキ そこが頂点になっちゃうのはイヤなので、バンドを長く続けるうえで武道館に見合うスケール感を持てるようになりたいなと。

——— まあ、武道館に立ったら立ったで「意外と普通だったね」とか言いそうだけど(笑)。

レイジ 確かに(笑)。

ハマ 武道館に関しては、単独でのライヴが未経験のバンドの中で、あそこのステージに立った経験の数でいえば、個人出演も含めたら相当多いと思う。

レイジ バンドでは3回くらい?

ハマ 僕個人では6回か。なので、武道館で単独ライヴをやるとなったらもちろんきちんと売り切りたいし、しっかりお金をかけてエンターテイメンなライヴをしたいという思いもあって。一方で、ただただシンプルなライヴをやるカッコよさを提示したいという思いも同時にあります。毛皮のマリーズの様な。

——— ああ、マリーズの解散ライヴだ。

ハマ そうです。ああいうライヴを観るとシンプルにバンドのそのままを見せるライヴもカッコいいなと素直に思う。

ショウ あとは、マリーズもそうですが、武道館には若干終わりのイメージもあるじゃないですか。

ハマ 昨今は特にね。

ショウ 最近でいえばGalileo Galileiだったり。

——— 東京事変もそうだった。

ショウ そう、華々しい最後というか。それも踏まえると、武道館をやるときはタイミングも大事だなと思います。

——— たとえば武道館の翌日に新宿レッドクロスでライヴしたりすればいいんじゃない?

ショウ それもありですね。そういうことだと思います、俺らがやりたいのは。

——— ここからは『BL-EP』の話に移りたいと思います。本作の収録曲はツアー中に制作していたんですよね?

ハマ そうです。

——— そもそもこのリリースは予定していたものなんですか?

ショウ それが予定外のリリースなんです(笑)。

——— やっぱり(笑)。そこがポイントだと思うんですよ。ツアー中に新曲を制作して、結果的に予定外のリリースをするという。

ハマ そうか、ドラマはそこにあったか!

——— そうそう。47都道府県を経て、四十八手目がこのEPっていう。

ショウ おおっ(笑)。

ハマ シモだ(笑)。

レイジ 48か〜! たかみな(高橋みなみ)のソロアルバムにも楽曲提供したし(『愛してもいいですか?』に収録の「夢売る少女じゃいられない」)、つながったわ〜。

——— つながってないよ。

一同 (笑)。

ハマ いや、でもそうか。ドラマはこのEPにあるのか。

——— レコーディングできる新曲ができたから録ろうってなったの?

ハマ まずコウキが曲を書いた「Burning Love」の存在が大きくて。もともと映画『にがくてあまい』の主題歌のオファーを頂いてできた楽曲で、そのオファーは「BROTHER」(Netflixオリジナルドラマ『火花』の主題歌)の少しあとにきたんです。

レイジ 「Burning Love」はツアーが始まる前にできていたよね?

ショウ そう。かなり前。「BROTHER」はリフとメロの組み合わせ然り、ひとつの発明のような曲ができたという感触がありまして。バンドの音楽的な作戦として、こういうタイプの楽曲を押し出していくのもありだなと思っていました。ツアー中に配信限定リリースした「ROCKY」はまさしく「BROTHER」の延長線上にある様な楽曲で。

——— まさに「ROCKY」には「BROTHER」のフォーマットに則ったムードが強く表出していた。

ショウ 「ROCKY」は「ROCKY」で想定外のタイミングで生まれた作品で。47都道府県ツアーを回っている中で、各土地で感じたことや、想いを作品としてカタチにしたいと思って急遽作った楽曲で。ツアーの終盤でお客さん全員と共有できる曲がほしくて。ツアーが波乱万丈ではなかったので曲を作りたいという思いもあったかもしれない。

レイジ 記念碑を建てたい、というか。

ショウ そういう「ROCKY」と「Burning Love」を同じパッケージでリリースしていいのかという疑問がメンバーのなかで湧いてきて。やっぱり曲のカラーが違うので。ジャンルが違うとまでは言わないけど、「Burning Love」は「BROTHER」や「ROCKY」のようなロック然とした感じではないですし。

——— 「Burning Love」のサウンドはトーキング・ヘッズあたりを彷彿させるような、ニューウェイヴファンクだし。

ショウ そうです。『にがくてあまい』はストレートの女性とゲイの男性が主人公で。その2人が一緒に暮らすという設定で。劇中では男性同士のロマンスシーンもあったりして。そういう面も踏まえつつ歌詞も書きました。

——— BL=ボーイズラヴも匂わせるという。ヴォーカルの声色も中性的というか、ちょっとデビッド・ボウイっぽいニュアンスが滲んでいて。

ショウ まさに。ちょうどコウキはデュラン・デュランにハマってる時期だったりして。それで、コウキが「音楽的なカラーとして統一感のある曲をまとめて、クリスマスシーズンにスペシャルEPをOKAMOTO’Sからのプレゼントというイメージでパッケージにするのはどう?」という提案があったんです。EPはほとんど作ってこなかったし、おもしろそうだなと。

——— それをヴァイナルと配信のみでリリースするという。あと、このEPにはファンク感が通底しているのもポイントで。

ショウ そう、そこがポイントです。

コウキ 「Burning Love」の手応えは個人的にもすごく大きいです。今までのOKAMOTO’Sはムキムキのパワーでねじ伏せる、という印象の楽曲が多くて、その温度感が自分たちの実像にも合ってきたとも思いますが、その一方で、もう少しリラックスして今の僕らに合ったジャストな温度感で、しかもノレてキャッチーな曲を作りたいなとも思っていたんです。たとえば「Beek」なんかは1stアルバム(『10’S』)の収録曲だけど、ああいうファンキーな曲は人気も高くて、そういう曲も演奏するバンドというイメージを持ってもらえていることもわかっていて。そういうことも踏まえて、試行錯誤しながらできた自信作が「Burning Love」です。「BROTHER」路線の「ROCKY」もバンド内でかなり手応えがあって、今後この路線を推し進めていくのもありだと思っている中で、その路線に「Burning Love」を同居させると混乱を招くなとも思って。それで、「Burning Love」の系譜にある曲をほかに数曲収録してEPとしてパッケージしたらいいんじゃないかと思ったんです。

——— では、今後の音楽的な道筋としては「BROTHER」と「ROCKY」の路線もあるし、「Burning Love」のような路線がメインになる可能性もあるという感じですか?

ショウ そうですね。おそらく来年はフルアルバムを制作すると思いますが、どっちのカラーがメインになるかは今後メンバーで話し合いたいなと。間違いなく言えるのは、どちらも今の自分たちの武器になりえるということ。でも、今までの俺たちは様々なタイプのサウンドを同時に提示しすぎていたなと思っていて。

——— いろんなタイプのサウンドをクリエイトできちゃうしね。

ショウ そこで伝わりづらくなってる部分もあるのかなと。もっとリスナーに「OKAMOTO’Sはこういう曲」というイメージを持ってもらえるようにできたらいいなとも思っています。

——— その一方で、「Burning Love」のような厚化粧で妖艶な色気があるようなファンク感って、ソウルやファンク的な要素を取り入れているバンドも多い昨今の日本の音楽シーンにはないテイストじゃないですか。

ショウ そうなんです。これはかなりいいポイントを突いていると思います。

——— これは間違いなくロックバンドとしてさまざまなアプローチにトライしてきたOKAMOTO’Sだからこそ出せるテイストだと思うし。

レイジ こういうキモめなファンクはなかなかないですよね。みんな清潔感がありすぎるから。

コウキ 僕らはファンクにしても「クッサ!」という様なものがカッコいいと思っているので(笑)。

——— ハマくんはどう?

ハマ たとえばけっこう前の話になると、「みんな4つ打ちばかりやってんじゃねえ!」という怒気と批評的な意味合いを込めて、自分たちなりに4つ打ちを取り入れた「JOY JOY JOY」を作ったら、インタビューなどで「今作もみなさんらしくてカッコいいですね」と言われてしまって、苦笑していた僕らがいて。でも、「Burning Love」は誰が聴いても大きな変化を感じてもらえる楽曲だと思いますし、そういう曲がようやくできたなと思っていて。どういうリアクションがあるのか今までで一番楽しみです。最近の流行りのサウンドとはあきらかに違いますが、エッセンス的には乗っかれる部分もあると思いますし。

——— いわゆるアーバンな音楽の潮流と。

ハマ そうです。そういう意味では「JOY JOY JOY」のエピソードとリンクしているところもあっておもしろいと思いますが、また全く乗っかれなかったらそれはそれで笑えますけど(笑)。でも、今回は乗っかれるような気がするんです。ある意味ではそこに乗っかって、そういう潮流のポケットが増えたらうれしいなと。

——— なるほどね。

ハマ あと、ひとつ思うのは、今までの僕らはきっとレコーディングが未熟だったとも思っていて、最近になってレコーディングのレベルが一段階上がった実感もあるんです。音源としてはすごくカッコいい曲ができましたが、これをライヴでリアルに体現する技量をこれから身につけていかないといけない。「BROTHER」や「ROCKY」のような曲はバーン!と勢いを残しつつ演奏できますが、「Burning Love」のような楽曲は音源とライヴの力量の差をまだまだ埋められると思っているので。

——— その意味においても、「Burning Love」はロックバンドとしてのファンクの濃い解釈だし、体現するにあたって余計にワクワクするところがあると思うんですよね。

レイジ そう、ロック色が重要だと思います。ロックというジャンルにおけるニューウェイヴであり。今回のEPの裏テーマでもあるんですが、渡辺省二郎さんというエンジニアと一緒にレコーディングできたことがかなり大きくて。渡辺省二郎さんとのレコーディングということで演奏も今までと全然違うテンションで臨めたし、間違いなく新しい風が吹いたと思います。そのあたりもきちんと狙って完成したEPなので。

——— 「Border Line」と「Phantom(By Lipstick)」もコウキくん曲ですよね?

コウキ 「Border Line」の作詞作曲と「Phantom」の作曲を僕が担当しました。「NEKO」だけショウくんが書いた曲です。

ショウ 今回はコウキを中心に作った曲が多くて。俺はやっぱりヴォーカリストなので楽器を弾くという発想よりも、ライヴでお客さんがどう動くかということを意識しながらの曲作りになってしまいがちで。でも、最近はどうやらそういうわかりやすい盛り上がりだけを求めている人も減ってきたと思っていて。3、4年前は、フェスでもライヴでどう盛り上がるかという発想が過剰に膨らんでいたように思いますが、今はその反動がお客さんのなかにも起きているような気がします。そういう意味では俺らはその反動にフィットするような楽曲も作れるし、俺よりもコウキのほうがそういう曲を作れるんです。ライヴでわかりやすく盛り上がっている画というよりも、もっと楽器がカッコよく鳴っていてそれをお客さんが楽しんでいる画というか。

レイジ そう考えると、すごくいい曲だけど、実際にカタチにできない昔のデモもけっこうあるよね。最近、部屋の片付けをしながらずっとiTunesをシャッフルで聴いてるんだけど、昔のデモが流れるとそれがものすごくよかったりする。絶対カタチにしたほうがいいと思うデモがいくつもあった。

ショウ 本当に? 確かにおもしろい曲ばかり作っていた時期もあったしね。

レイジ すごいあるよ。そのあたりの曲を選んでカタチにしていってもフルアルバムを作れるくらいの数はあると思う。

ショウ それにしても最近はコウキの作った曲の人気が特に高くて。

コウキ そう?(笑)。

レイジ コウキが歌う曲も人気が高いよね。

ショウ そうそう。

——— 「Border Line」でもコウキくんがヴォーカルをとってますけど。

ショウ 自分たちが今まで見せてきた画と違う面をこのEPでは見せられると思います。なので、本当に(ハマが言うように)これをライヴでしっかり体現できればかなり強力な武器になると思う。

——— 「Phantom」はPhoenixのような洗練されたポップネスに富んでいて。映画の挿入歌のようなムードもある。

コウキ 確かに。この曲もけっこう「Burning Love」に通ずるようなイメージで作った曲で。「Burning Love」を作っているときにある種のファンク感をどのようにOKAMOTO’Sで昇華すればいいかをすごく考えたんです。ファンク感はズットズレテルズにしろメンバーの人数が多いほうが映えるところもあるし、4人編成のバンドでファンク感を取り入れて、メンバー全員が活きるにはどうすればいいんだろうなと。「Burning Love」でニューウェイヴ方面から攻めて、その突破口を見つけられた気がしました。「Phantom」はそれをAOR的な発想で突破口を開いたというか。

ショウ ちょうどそのころ俺とコウキがAORにハマっていたということもあったり。

——— ああ、なるほどね。「Phantom」はヴォーカルの平歌のキーがかなり低いですよね。

ショウ これはコウキ曲におけるあるあるなのですが、「Phantom」のキーはもともとメロのキーが全部高くて、かなりキツかったんです。
それはそれでヴォーカリストとして「おまえがんばれよ」って話ですけど(笑)、試しに「Aメロをオクターブ下げてみていい?」と提案して下げたのがこのバージョンで。個人的には寺尾聰さんの「ルビーの指環」の英語バージョンのようなイメージで歌いました(笑)。歌詞の和訳も歌謡曲らしさを意識して。

——— なるほどね(笑)。

ショウ 「Phantom」のキーに関してもライヴを意識したら、絶対にこの低さで作ることは避けていたと思います。ただ、今回はそういう発想の制作じゃないことはハッキリしていたので。結果的に今までにないOKAMOTO’Sナンバーを完成させることができた。

——— 「NEKO」はくるりの「琥珀色の街、上海蟹の朝」にも通じるテイストですよね。

ショウ まさに(笑)。このEPは最初にコウキからクリスマスプレゼントとしてのEPという提案があったので。肩の力を抜いて作ろうと思っていました。さっきも言ったように、俺はいつもガチガチに曲を作りがちなので。結果的にものすごく肩の力を抜いて作れましたし、かなり遊びました。歌詞がものすごく気に入ってます。

——— 褒め言葉として言うけど、ヒドいよね(笑)。

ショウ ヒドいです(笑)。

——— もう、ショウくんが個人的に地元をレペゼンするフッドアンセムでありながら、孤独な男のクリスマスソングで(笑)。〈世田谷を爆走ちんちん電車 環七からすぐの山小校舎 俺の落書きまだあるそうじゃん〉のラインとか、最高。

ショウ うれしいです(笑)。寂しい男のクリスマスソングというイメージがありつつ、曲を作った動機としては、ツアー中にもかかわらず猫を飼い始めたんです。しかも2匹(笑)。

——— 愛猫を愛でる歌でもある(笑)。

ショウ そうです(笑)。

ハマ 主に猫を愛でることと、ショウの幼少期を書いた歌詞(笑)。

ショウ あとは、メロディもなく日本語で韻を踏んで、ラップと言っていいかわからないけど、俺なりにラップを意識して書いているのがものすごく楽しくなってきて。大きい声で〈ちんちん電車〉って歌いたかったので〈ちんちん電車〉と書いたり(笑)。

レイジ かなり素のショウさんが出てるよね。

——— 「NEKO(Remix)」ではKANDYTOWNから呂布くんとMUDくんが参加していて。この曲調で呂布くんが参加してるということで、ズットズレテルズを思い出すリスナーは少なくないと思うんですよね。

ショウ 俺は全く意識してなくて。レイジが「この曲は絶対にショウさん以外の人がラップするバージョンもあったほうがいい」と提案してくれて2人にオファーしました。

レイジ そもそもデモができた段階では全然テンションの違う曲で。もう少しクリスマスソングらしいテンションだったよね。そのあとに、デモから実際にレコーディングに入るという段階で、ハマくんが『メン・イン・ブラック』のウィル・スミスの曲を持ってきたんです。「こういうテンションでやりたい」って。それがもろ2000年代のヒップホップを彷彿とさせるテンションで。そっちの方向にもっていってアレンジしたらネプチューンズの様なテンションが出てきて、「この曲だったら呂布とMUDを呼びたい!」と思ったんです。遊び心のあるEPを作りたいし、リミックスが入ってるほうがカッコいいとも思いましたし。

——— あくまで自然な流れで。

レイジ 超自然な流れ。だから、ズットズレテルズのことはまったく頭になかったです。

ショウ レコーディング中に「そういえば俺らのビートに呂布がラップを乗っけるのってひさしぶりじゃない?」となって。

ハマ きっとズットズレテルズを思い出す人はいるでしょうし、それは全くイヤではないんですけどね。でも、ズットズレテルズをフラッシュバックさせてやろうという意図は本当になかった。

レイジ でも、狙わずに自然とそういう流れになるところも俺らっぽいですよね。

——— そうなんだよね。しかも喜多見ではないけど、舞台は世田谷だからさ。

ショウ 確かに。

レイジ でも、単純に好きなラッパーが自分のドラムの上でラップしてくれるって、こんなうれしいことはないですよ。友だちだから頼んだということではないので。

——— 予定になかったこのEPをリリースして2016年を締めくくることは、2017年へのポジティブな動力にもなると思うんですよね。

ショウ そう思います。

——— 最後に2017年のOKAMOTO’Sの展望を聞けたらなと。

ショウ ライヴの面では、OKAMOTO’S主催の対バンツアーを最近はほとんどやってないので、ぜひやりたいです。

ハマ そうだね。人に呼ばれることはあっても。

ショウ 昔は散々対バンツアーをやっていたのですが、ここ数年はワンマンをどう作っていくかに注力していたので。あとは、やっぱりアルバムをリリースしたいです。『OPERA』がコンセプチャルなアルバムだったので、今年は「はい、次のアルバムです」ということにしたくなくて。それで今年はアルバムのリリースはしないと決めていたんです。2017年に入ったら次のアルバムの方向性を決めていきたい。世の中の流れ的に個が強い人が受け入れられる時代になってきているような気がするので。

ハマ 生きている間にさらにわけのわからないことが起こりまくると思うので。だって、俺っちが生まれてから——— 。

レイジ 俺っち!(笑)。

コウキ やべえ(笑)。

——— でも、ホントに世も末を越えちゃった感じがあるよね。

ハマ まさしく。だからもう、世も末広がりですよ。

ショウ そういう時代にワクワクしてるしね。

ハマ 本当に。逆に今はまだ25歳でよかったなと思いますね。

ショウ 来年も引き続き濃い音楽を作っていきたいです。

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