OKAMOTO’S

10thALBUM

「4EVER」

2025.1.22RELEASE

4EVERの歌詞の中で俺は1番素直な愛を歌いました。

ありのままのあなたが好きだし、完璧になれない俺を愛してくれるあなたが俺には必要なんです。
俺が魂を削って作ったものを受け取ってくれる人が、自分のことよりも愛しいんです。


ありがとうと伝えたかった、これまでよりずっとはっきりと言葉にしたかったんです。

あなたがいなきゃ今の俺はいないから。

これから先の未来に出会う人もそう。
きっとその出会いのために壁をよじ登ったんだし、辞めずにバンドを続けたんです。

嫌な気持ちになって、こんな想いするならなんでやってるんだろ？って思ったとしても、楽しいだけじゃなかったとしても、それでも音楽をやりたいと思ったから、それでも自分たちにはまだやれることがあると思ったからここまできました。道は続いていて、この4人ならもっとすごい景色が見れそうなんです。


15年やってきてこんな風に思うことがあるんだ！と自分でも驚いていますが、ここからまた何かが始まる気がしています。
すごく良い予感です。
新しいスタートにふさわしい一皮も二皮も剥けたアルバムを作れた自分たちのことが誇らしいです。
どうかこのアルバムがあなたにとっての大切なアルバムになりますように。

あなたが好きな人のことを考える時に頭の中に溢れて流れる音でありますように。

何を書こうかなあと迷ったのですが
ここはマニアックでいいかな、と。
アルバムへの想いとか諸々はおそらく
雑誌とかでみてもらうのがいいだろうし。
なので新作で使ったギターを思い出せる限り
つらつら書いてみました。
他にあんまりこういうのを書く機会も
なさそうだし。
バンドをやっている人は
ぜひ真似してみてください～。


1.ありがとう
Fender Thinline（奥様所有のを借りパク中）に
VOX AC30です。
自分の中ではスタンダードな組み合わせ。
ギターソロはプロデューサー佐橋佳幸さん
所有のFerder Deluxe Reverbで。
めちゃくちゃいい音じゃった….（遠い目）

2.4EVER

Fende Jazz Master
（奥様所有のを借りパク中・その2）に
BOSSのDD-8でショートディレイを掛けて
弾いて残響感を出しています。
このやり方は結構何回かやったことある
お気に入りのスタイル。
アンプは自分のメインのFender Super Sonicです。
このアンプももう10年選手になってきましたね。


3.Greatest World

KNOWHEREリリース後にFlying Vを
手に入れました。
変な形だからどんな音がするんだろうなー？
って思ってたんですけど、
意外にスタンダードな太い音がします。
そんなFlying Vを初めて使ったと思います。
ローが出てるなー。


4.Continue

ここにきて不動のメイン
Fender Stratcaster 1964の登場です。
10年くらい前に清水の舞台から
飛び降りる覚悟で購入いたしましたが、
現在では飛び降りようと思っても
飛び降りれないレベルの高さになってしまいました。
ひえー。
かかっているエフェクターはLine 6 の
HX Oneというマルチの中に入っている
BOSSのDimension Cというエフェクターを
再現したものを使用。
このDimension C、長年幻のエフェクターとして
知られていましたが最近復刻されました。
内容は揺れないコーラスのような感じ、
と言ったらいいでしょうか。絶妙です。


6.LOAD

スキットは割愛します。
LOADはなんだったかなあー。
多分メインのSGにFenderのSuper Sonicという
ライブと全く同じ組み合わせたったように思います。
ライブの感じで録りたかったので。
めちゃくちゃいい音で録れてますよね～。


7.Cheap Hero

これはSilver ToneのModel 1448という
ギターで弾いていますね
（GIRLのジャケで持っているやつです）
元々はアメリカの家具メーカーが作っていた
ギターというだけあって、見かけが可愛い、
おもちゃみたいなチープなやつです。
これにBOSSのDS1を思いっきり歪ませて
録ってます。
カートコバーン的な気分です。

8.よくないね

Ferder Telecaster 1974をラインで
録音してます。
要するにアンプは使ってないですねえ。
あ、アンプの音も少しだけ混ぜてるかもしれないけど
クリーントーンな音作りをしてると思います。
昔はラインで録るのとかすげープレイの荒が目立つんで、
ちょっと抵抗あったんですが
最近はもうこの手の曲ではマストになってまいりました。
間奏では珍しくスライドギターを2本ダビングして
ジョージハリスン的なことをやったりしてます。

9.Where Do We Go?

流石に昔すぎて記憶が曖昧です….（笑）
あ！そうだ！この曲のアウトロに入っている
音がスプレーの音だって気づいた人は
どれくらいいますかね….。
Joy Divisionのアルバムで
マーティンハネット（プロデューサー）が
スプレーの音を入れてるっていうのを知って
ずっとやりたかったんで、ついにやっちゃいました
「She’s Lost Control」だったかな…。
全くギターの話じゃないなこれ（汗）


10.カーニバル

この素晴らしいアコースティックギターの音は
ショウさん所有のL-00です。1930年代のギターで、
我々が持っている楽器の中で最もおじいちゃんです。
てかもう少ししたら余裕で作られてから
100年とかたつのやばすぎ。
流石に作られて100年近く経ってると
木が乾ききってるっていうのかなあ、
本当にぶっとい音がするんですよね。
この曲や過去の曲で言えば「DOOR」を
聴いてみてください。L-00の音です。
アルバムバージョンということでエレキを
色々ダビングしてます。
またもや珍しくスライドやったりとか。


11.この愛に敵うもんはない

なんと言ってもBOSSのPS-5のピッチダウンを
使ったリフ。皆様ぜひ真似してください。
ワーミー的なピッチが上がってくやつじゃなくって
下がるやつってThe Black Keysの「Lonely Boy」とかが
発祥かなと思うのですが、日本の音楽シーンでは
まだやってる人があんまりいないような。
実際やってみるとかなり難しいです。


12.Song 4 You

これもThinline＋ AC30だったかな。
結局この王道の組み合わせが好きだなあ。
あとこれ、アウトロが思いっきり
「Day In The Life」だね。
みんな「太陽は罪なやつ」に気を取られて
気づいていないけど（笑）
そんなアルバムの終わり方、なかなか素敵じゃないか～。

1.Sivertone


2.一番手前がL-00ですね。奥2本は自分所有のギルド2本ですね。


3.Ferder Thinline。何気に使用頻度多いです。


4.KNOWHEREリリース後に手に入れたFlying V。


5.不動のメインFerder 1964です。ちなみにお隣はTAIKINGの1964。


6.一番手前がメインのSG。一本奥が1966のビンテージSG（今回は使わなかった）

4月からハマ・オカモトを休んで、9月にハマ・オカモトに戻るまでの間はバンド音楽を聴かなかった。厳密に言えば、「全く」ではないけど、それでも普段と比べるとほとんど聴かなかった。
それに、楽器も全く触らなかった。

聴きたい欲求も特に湧かなかったし、弾きたいという気持ちも特に湧かず、していた事といえば陽に当たったり足を動かしたりする為に身体を引き摺るように外に出て散歩をしたり、調子がいい日は車で外に出て目星をつけた建物や公園に出向いたりしていた。

何を食べるかを考えるのが煩わしかったので、昼はパンケーキを食べる事に決め、数えてないけど期間中はすんごい量のパンケーキを食べた。
毎日のように気に掛かった事を数年前から買い続けているメモ帳に書いて眺めたりもした。

そんな事を毎日毎日繰り返し、なにも予定がない事へも慣れてきた頃、家でフイルムのモノクロ現像をするようになり定着液臭くなりながら毎日過ごす中で、学生時代の友達と集まったりできるようになり、音楽やバンドの話を自然とする自分にハッとしたりもした。

集まるたびに中華を食べていて、話し込んでいるうちに気がつけば店の外には夏が来ていて、ビックリしながらふと少し先に全国ツアーがある事を思い出した。

どれくらいこの生活をするのが自分のためなのか。

このまま自分でいられる自由な時間を過ごし続けるのか。
知らない間に人につけられた肩書を背負いなおしてみるのか。
考えてみたけど、その日答えは出なかった。

割愛するけど、みなさんが知っての通り僕はハマ・オカモトに戻った。
戻って最初の現場は、アルバム「4EVER」のミックス作業だった。

休む前にオケは全て録り終えていた事は結果幸いで、それを整理する作業での現場復帰だったわけだけど、久しぶりに大きな音でバンド音楽を聴くのが自分のバンド、自分の演奏だった。

振り返るとレコーディングの記憶も歯抜けのようで、僕はミックスで曲をプレイバックしながら

「確実に自分の演奏だけど、はっきり記憶にない」

というこの先きっとないだろう不思議な体験と気持ちで作業に臨んでいた。

「Aメロをこう弾くなら、自分だったら次の2Aは絶対変えてくるはず。でも、このあとどうしたんだっけなー？」

「あー！こういう風に弾くんだ。こういう引き出しもあるんだ」

と、自分の演奏に一喜一憂しながらの作業だった。
うまく説明できないけど、すごく面白かったし、自分を見直した。

ハマ・オカモトにはまだまだ伸び代があって、自分自身にワクワクできる感性もあるんだと、少し安心した。

15周年だったり、10枚目だったり、キリのいい数字と縁起のいい周期でこのアルバムが世に出て、聴いてくれたみんなの解釈が集まってそれが価値になるんだと思う。

それは毎作同じなのだけど一つだけ違うのは、このアルバムは僕がOKAMOTO'Sを至極客観的に、素直に見て聴いて「いいな」と思えた初めてのアルバムだということ。

望む華やかな結果はもちろんあるけど、そんなものは正直どうでも良くこの作品が世に出るという意味と、この文章に辿り着いた貴方とこの話を共有できたことがなによりも嬉しい。
このあと自分にできる事は、演奏を通して貴方とOKAMOTO'Sを共有し続けることだと思っています。

直感で自分の心が踊るもの、そういうものがきっと自分を写す鏡なのだと思います。
今作があなたにとってそういう作品になることを願っています。

もし気に入らなかったら、また作るから。
新しいのを。

実はこのアルバム、ハマ君休養前にRECは終わってて、ほぼほぼ完成していました。
メンバーの休養、それは我々にとって初めての事だったし、間違いなくキャリア最大のプロブレムでした。
それを経て俺たちは3ピース編成でライブをやってみたり、俺はその間、キックボクシングを始めてみたり、それぞれ個人的にもいろんなことが起きた半年でした。
なのでせっかくだから少なからずそれを反映させた要素もふんだんに入れて、アルバムそのものの顔つきを変えた方が良いのでは？というアイデアも出たが、曲を増やしたりはせず、完成したものはそれはそれでコンパイルしようという話で落ち着いた。

短い期間だったけど、いろんな課題を乗り越えて、見えている景色が変わった今、「ありがとう」の歌録りだけ再トライしてみたり、曲間にライブ中のMCを入れてみたり、アルバムそのものの持ち味は生かしつつ少しだけ新しい要素を入れてみました。
昔、一緒に作業した時にくるりの岸田さんに「ええミュージシャンは辻褄が合うんやで」と言われたのを随所随所で思い出します。
これまでの我々の15年間の点と点が線で結びついてこのアルバムは完成したと思います。
聞き手それぞれがそれぞれのイメージを描いたり、この音楽と共に新しい思い出を作っていってもらえたら嬉しいです。

そしてさらにパワーアップしたこれからのOKAMOTO'Sもよろしくお願いします。