【収録曲】
- 1. I GOT LOVE
- 2. それはマジック
- 3. LETTER
- 4. 石鹸
- 5. MORE
- 6. PARTY IS OVER
- 7. TEENAGER
- 8. 頭の中だけ俄然ポップ
- 9. いつもこんな
- 10. 未来で会いましょう
- 11. はやくかえりたい
- 12. GIRL
2019年10月23日(水) RELEASE
品番:SLRL-10045/価格:3,300円+税/仕様:CD
<購入者特典>
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オリジナル特典(オリジナルクリアファイル・ポストカード・デカジャケット)をプレゼント!
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【チケット料金】¥4,000(税込)
新型コロナウイルスの感染拡大防止の為、現状を鑑み、全公演の開催が中止となりました。詳しくはオフィシャルサイトをご覧ください。
ありがとうございます。OKAMOTO’Sのアルバムで初めてボーカルも担当したのが『OPERA』の「ハーフムーン」という曲で。ぶっちゃけて言うと、自分はあくまでバンドのギタリストだと思っていたので、ソロアルバムを作りたいという願望はそこまで強く持ってなかったんです。でもこうなった流れを説明すると、まず『BOY』が完成したあとにちょっとだけ時間が空いたんですね。
まぁたしかにつねに何か動いているのでそこまでは時間が空いていたわけじゃないんですけど(笑)。でも、過去のアルバム用に提出はしたけど収録されなかった曲がけっこうあって。曲自体はいいんだけど、そのときのバンドのモードに合ってなかったり、デモの完成度が詰められてなかったり。その曲たちに対する心残りがあって。それでデモをそのタイミングでもう一回録り直してみたんですよね。自宅での制作環境や技術も『HELLO WORLD』のサントラ作りをきっかけに向上したのも大きかったですね。サントラも基本的に宅録で作った曲をそのまま採用しているので、宅録のクオリティもすごく上がったんですね。過去のデモの録り直しの延長線上で新しい曲もできていって、「アルバム1枚分くらいの曲があるな」と思って。一方でOKAMOTO’Sの10周年の一環でメンバーそれぞれの企画でライブをやりますという流れもあって。ハマくんは大阪でやりました、ショウさんは今度STUDIO COASTで生誕祭をやりますという展開の中で、僕が一番みんなを驚かさせる方法は何かなと考えたときにスタッフから「ソロライブをやるのはどう?」という提案があったんですよ。それが春くらいで。その提案に乗っかって「全部自分で準備して、ライブのメンバーも自分で集めるから、ライブ前に音源を出させてほしい」という話をスタッフにしたんですよね。
そう。曲を作ってるうちに「これは次のOKAMOTO’Sのアルバムに入るものではないな」という曲も出てきていたし。OKAMOTO’Sのアルバムは『OPERA』以降、だんだん洗煉され、クールな作りになってきていて、『OPERA』『NO MOR MUSIC』『BOY』の3枚で一つのフェイズが終わったという感じもあると思うんですよね。この3枚が“大人になっていく過程”を描いた三部作だとしたら、これはあくまで予想の話になっちゃうんですけど、次のアルバムはプロのミュージシャン、大人のミュージシャンとして今の時代にロックバンドがどのようにカッコいい音楽を提示できるかということがテーマになってくる気がするんですよ。かつポピュラリティにも富んでいて、「最先端のロックはこれでしょ」という作品を打ち出したいという気持ちがあって。そうしないとメンバーみんなのリアルなカラーに合わないと思うし。次のアルバムはそういうことも客観的に見て作るべきだと思うんですよね。そうなったときに現時点で作っている自分の曲は次のOKAMOTO’Sのカラーではないと思ったんです。だからここでソロアルバムを作ることによって自分の心残りも解消できるし、OKAMOTO’Sの次のアルバムに気持ちが向かっていけると思った。それでこのソロアルバムでもっとパーソナルに、もっと女々しく、もっとノスタルジックで、もっとメロディが立っている曲を出そうと思ったんです。あとは自分としてもOKAMOTO’Sのメンバーとして10年やってきて、武道館ライブも実現できたタイミングで、ここでソロアルバムを出すことで自分個人の今の実力を確認できると思ったし。ということもあって、ソロアルバムを作るならこのタイミングしかないだろうということで大急ぎで作ったんです(笑)。
そうです。ギターはもちろん、ベースもドラムもキーボードも弾いてます。
そういうことです。あとは、うちのバンドメンバーがプレイヤーとしてすごく優秀で魅力的な人たちなので。メンバー以外のプレイヤーに弾いてもらう理由づけまでして他のプレイヤーを呼ぶとなると、よっぽど優れた人じゃないとダメだと思って。それならギター以外の楽器も下手でもいいから自分で弾いたほうが意味があるなと思ったんですよね。でも、珍しくないですか? この世代で、いわゆるデスクトップミュージックじゃない、わりとアナログなバンド編成のサウンドを一人で録るって。ドラムに関してはけっこう機械の力も借りてますけどね。ドラムのパーツ別に録ってそれを編集したりとか。あとドラムの音作りに関しては黒猫チェルシーの啓ちゃん(岡本啓佑)にスタジオに来てもらってチューニングしてもらったんですよ。
そう。でも、フィルやフレーズ自体は打ち込みで作ったものとほとんど変わってなくて。デモの段階で歌詞までフィックスしているアルバムのカタチを一度作ってから「これだけ曲ができていて、あとは打ち込みを生に差し替えるだけでソロアルバムができるので作らせてください」って事務所にプレゼンしたんです。
まぁハマくんほどではないですけど(笑)。
そうですね。すごく充実してますね。よく僕らはインタビューを受けるときに「10代でデビューして最初の1年がめちゃくちゃ忙しくて、1年でアルバム3枚リリースしたんですよ」って言ってたんですけど。『10’S』と『オカモトズに夢中』と『欲望』の3枚。でも、よく考えたら今年は『BOY』をリリースして、『HELLO WORLD』のサントラをリリースして、このソロアルバムを3枚リリースすると思ったら、やってること変わらないなと思ったんですよね(笑)。ただ、クオリティの話で言ったら全然レベルが上ってるから。すごくいい1年だなと思いますね。
曲作りに関してはもう、絶対に枯渇することないですからね。それが売れるか売れないか、どういうタイミングでどう出すかは別にして。「曲が書けない」って言ってる人が信じられないくらいで。今は自分たちが武道館でライブもできたという自信もあるし、年齢も27、28になってきて見晴らしがよくなったんですよね。同世代で面白い音楽を作ってる人も周りにいるし、活動がしやすい状況にある。そうじゃないとソロアルバムを作ろうとは絶対に思わなかったし。
全然想像もしなかったですね。「いつか」とも思ってなかったです。ここ2、3年の話でも想像してなかったけど、最初に「ハーフムーン」がOKAMOTO’Sのアルバムに入ったときに、あの曲も自分が歌おうと思って作ったわけじゃなくて、数ある曲の中から「こういう曲を作ってみたんだけど」ってバンドに提出して。そしたらメンバーから「すごくいい曲だけど、でもこれはショウさんが歌う感じじゃないよね」という話が出て。そのときにレイジが「この曲は絶対にコウキが歌ったほうがいいよ」って強く推してくれたんですよ。「じゃあわかった。やってみます」という感じで歌ったんですけど。そういう始まりだったんですよね。
そう、あのときメンバーが客観的な意見をくれたのが今につながってますね。
いや、けっこう消極的でした。僕はもともとロックやパンクが好きで、渋谷系的だったりAORっぽかったり、ちょっとアーバンな曲が好きになったのはここ数年なので。そういうロック的な価値観で言うと僕の声ってロック然とはしてないから。だから、そもそもの好みで言ったら自分の理想的なボーカルとはかけ離れてるんですよね。
そう。それこそネオアコだったりフリッパーズ・ギター的な視点で見ると自分の声は成立するなと思って。ゴリゴリのロックにこの声が乗ると合わないけど、ネオアコ的な感じだったら合うなという発見があったんですよね。そう考えるとOKAMOTO’Sの10周年とは別の角度で感慨深いものがありますね。
INTERVIEW&TEXT by三宅正一
みんな「いいじゃん、いいじゃん」って言ってくれました。
聴いてると思います。まだ明確な反応は受け取ってないんですけど。まぁ、そこは照れもあるでしょうし(笑)。でも、ショウくんもハマくんも「いいね」って言ってくれたし、今回「LETTER」という曲をいわゆる推し曲にしようと思ってるんですけど、レイジは「『TEENAGER』のほうがいいんじゃない?」という意見をくれたり。みんなきっと気に入ってくれてると思いますね。
そう。BIG STARというパワーポップバンドのアレックス・チルトンというボーカルが大好きで。「いつもこんな」という曲にはアレックス・チルトンのテイストも入ってると思いますね。
ビートルズっぽい曲もあるし。
「いつもこんな」が一番古いかな。「BROTHER」のカップリング候補として「なんかホーリー」と一緒に提出した曲です。あとは「未来で会いましょう」という曲は『HELLO WORLD』の主題歌候補として作った曲なんです。
そう。アルバムの曲の半数以上は今年に入ってから書いたものですね。最初は今まで作った曲の個人的ベスト10を集めたアルバムにしようと思っていたんですけど、結果的に新しい曲ができていって。
たしかに。そういう感じはあるかも。
そうですね。時代感に関してはほんとに年代を問わない要素を入れたかったというか。ある種、このソロアルバムは賞味期限のないものを目指して作ったところがありますね。急に60年代っぽい要素が入ってきてもいいし、マッドチェスター的な要素が入っていてもいいし。一方で、次のOKAMOTO’Sのアルバムは今の段階では超時代的で、超最新のロックバンドの音でいいと思ってるんですよね。
謎フロウですよね(笑)。
密室っぽい感じですよね。部屋で一人で作ってるといろんな要素が出てくるんですよね。それこそ先日亡くなったと報じられたダニエル・ジョンストンみたいな脳内宇宙じゃないけど。だからこそ、全部自分に責任がのしかかってくるんですけどね(笑)。
そこはもう10年の経験って感じですね。ラフなところも活かしつつ、詳細な部分にも気を配りつつ。むしろバンドのほうが「演奏はヨレてるけど4人で演奏しているこの感じがカッコいいじゃん」ってなるのですが、ソロはそれがないので細かいところに気を配りましたね。
そうですね。基本的にはいつも「早く帰りたい」と思うタイプなので(笑)。移動するみたいなことは一つテーマなのかもしれないですね。そういう性格なんですよね。一人っ子だし(笑)。「はやくかえりたい」をショウさんが聴いて「これめっちゃコウキの感じだね!」って言っていて。
そう。この曲は特にコミュニケーション下手で、郊外が好きで、全然シティボーイじゃない感じが全部出てると思いますね。
そうそう(笑)。「そんな場所には行きたくないです」みたいな。そういう感覚はずっとありますね。
これはOKAMOTO’Sの4人みんなそうだと思うんですけど、熱狂の中に自ら入っていくんだけど、でもどこかでちょっとそういう自分を俯瞰で見ているところがあって。「おまえらいくぞ!」みたいなことをステージでは言わない人たちの集まりだから。
そうそう(笑)。だからOKAMOTO’Sは今こういう立ち位置でいられるんだと思うし。
ありがとうございます。結果的にアルバムタイトルは『GIRL』になったんですけど。アルバムを作ってみたら「これは『GIRL』しかないんじゃないか」って思って。その理由として、一つはOKAMOTO’Sの『BOY』というアルバムがあって、その対比としての『GIRL』。OKAMOTO’Sの『BOY』には4人のメンバーが集まって乱暴に言うなら武道館でライブをするまで「週刊少年ジャンプ」的なストーリーがあったと思うんですよ。少年たちがロックバンドを組んで夢を見ながら10年を駆け抜けていたストーリー。一方でそのストーリーの中で出なかった個人的な女々しさや想いが対比としてあるなと思って。対を成すものとして『GIRL』というタイトルがいいなと思ったんです。あともう一つは『BOY』は『GIRL』の存在なしではありえないですから。
夢を見続けたり、向上心がBOYの中にあるとして、そのモチベーションになるのは結局GIRLの存在なしでは語れないなと思って。僕個人のこの10年間の曲作りや活動を踏まえても、バンドという面では『BOY』に集約されたとしても、その裏側で『GIRL』を意識しているところがあって。それを集約して『GIRL』というアルバムタイトルにしようという答えになった。バンドでは『BOY』でこれまでの総決算と回収をして、自分的にはこの『GIRL』で個人的な欲求を回収している感じなんですよね。いわば裏総括というか。だから、このソロアルバムを出して心置きなく次に行けるという感じなんですよね。
INTERVIEW&TEXT by三宅正一